タンパク質はとりすぎてはいけないのか

筋力トレーニングを始めると「たんぱく質を摂取しろ」と言われる。実際にたんぱく質は筋肉をつくるためには切り離せないものだ。しかし、このたんぱく質摂りすぎは危険かもしれない。


誰もが何となく理解するたんぱく質の重要性。 特に日々筋力トレーニングに励む人たちにとっては生活に不可欠と言っても過言ではない栄養素になっているだろう。
そもそもたんぱく質の役割とはなんなのだろうか。 たんぱく質とは三大栄養素のうちの一つであり、私達が生きていく上で必要不可欠な栄養素だ。血液や筋肉など、私達の身体を構成する要素のほとんどがこのたんぱく質によって作られているといわれており、体重の5分の1をしめている。5分の3が水分であることを知ると、いかにたんぱく質が大きな割合を占めているのかが理解できるだろう。

たんぱく質の役割とは

たんぱく質の摂り過ぎは存在するのか

厚生労働省が発表した「日本人の食事摂取基準」(2015年版)によると、1歳以上の年齢でビタミンやミネラルなどの目安量(AI)や耐容上限量(UL)が設定されているのに対してたんぱく質は設定されていない。 つまり、たんぱく質には摂りすぎは存在しないということであろうか。 しかしながら、たんぱく質の摂取がオススメ出来ない理由はいくつか存在しそうだ。
一度は聞いたことがあるかもしれない、たんぱく質の過剰摂取が招くデメリットである。 アミノ酸にたんぱく質を分解する過程で生まれる窒素がアンモニアに変化する。そして、そのアンモニアを尿素に変えるのが肝臓の役割であるからだ。このメカニズムを踏まえると、過度なたんぱく質の摂取が肝臓に負担を与えることは理解できるだろう。 だが、近年このデメリットの正しさも疑われ始めている。たんぱく質摂取量を増やした初期には確かに腎機能の数値が変動するが、中長期的には変わらずほとんど影響を与えていないのではないかという。どちらにせよ、もともと肝臓や腎臓が弱い人はたんぱく質の過剰摂取は控える方が懸命だと言えるだろう。

たんぱく質のとりすぎを避けるべき3つの理由

1.腎機能が低下する可能性がある

2.体重が増えてしまう可能性がある

たんぱく質を分解することによって生まれるアミノ酸は身体に貯めておくことは出来ない。必要な分量を分けて摂取しなければ、分解して身体のために使い切れなかった場合脂肪となって残ってしまう。筋トレで自らの筋肉を鍛えたいと願って必死にたんぱく質を摂取した人たちが、皮肉なことに脂肪ばかりが増えて太ってしまうリスクがあるのだ。これは科学的にも証明されており、十分に注意すべきリスクであろう。

3.骨粗鬆症になる可能性がある

骨粗鬆症という症状を知っているだろうか、骨の量が減って骨が弱くなってしまい骨折してしまうという病気だ。実はこの骨粗鬆症の原因にたんぱく質の過剰摂取が影響しているかもしれないという。大手男性誌のTarzanによると、
タンパク質を過剰に摂取すると体内が酸性に傾く。それを中和するために骨のカルシウムが利用され、尿とともに排出される。これが骨粗鬆症を招くメカニズムとされている。 しかし、骨のカルシウムが一時的に利用されることと、骨粗鬆症になることは別々に考えるべきで、タンパク質の過剰摂取が、骨粗鬆症に直接的に結びつくという決定的な根拠はない。ただ、リスクを高める可能性はあるので注意が必要だ。
https://tarzanweb.jp/post-176099
という。あくまで可能性にすぎないが、たんぱく質の過剰摂取は骨粗鬆症になるリスクを高める可能性はあると言えそうだ。

効果的なたんぱく質の摂取量

効果的なたんぱく質の摂り方

何度も言うように、私達に身体にとってたんぱく質は必要不可欠な栄養素。しかし、このたんぱく質効果的に摂取するには正しい量と質、タイミングが必要なのだ。
たんぱく質の摂取量はあなたの体重や運動量による。厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」(2015年版)によると、体重1キログラム当たり0.8グラムがオススメの摂取量だと言われている。しかし、実際は人によっても異なり、他にも変数があるだろう。樋口満編氏の「新版コンディショニングのスポーツ栄養学」よると以下のように必要摂取量は異なるという。

https://www.weider-jp.com/protein/columns/detail/?id=3&category=muscle

良質のなたんぱく質とは

「良質なたんぱく質」を摂取することを勧められるが、たんぱく質の質とは何によって変わるのだろうか。国立長寿医療研究センターによると、
「良質なたんぱく質」というのは、アミノ酸がバランス良く含まれているたんぱく質のことです。アミノ酸の含有バランス(アミノ酸スコアといいます)が良いものは、生体内での利用効率が良く、余分な老廃物となるものが少ないので、「良質なたんぱく質」と呼ばれます。
https://www.ncgg.go.jp/
上記のように説明されている。 肉類、魚介類、牛乳・乳製品などがアミノ酸のバランスの良い良質なたんぱく質だそうだ。また、例え同じアミノ酸が含まれていたとしてもそのたんぱく質が動物性か植物性かによって異なる機能を持っていることがある。大豆などの植物性と動物性のたんぱく質を上手く組み合わせて摂取することが望ましいだろう。 参考 : 「良質なたんぱく質とは?」https://www.ncgg.go.jp/cgss/department/ep/topics/topics_edit09.html

効果的なたんぱく質の摂取タイミング

たんぱく質は一回の食事で摂取し、ためておくことは出来ない。故に、一食で必要なたんぱく質を摂取してしまうというのは不可能と言っても過言ではないのだ。分けて適切な分量を摂取することが重要なのだ。一日の必要摂取分量を毎食、できれば運動直後の摂取などの間食も含めて分けて摂取することが好ましいそうだ。 勿論、朝はたんぱく質摂取のためのゴールデンタイムと呼ばれ、効果的だと考えられている。あなたも聞いたことがあるだろう。諸説あるが、それは現代人の食生活だと、朝のタイミングできちんとした量を摂取するのが難しいからだと考えられているからだ。

何事も節度をもって

勿論、たんぱく質が不足することは人体にとって良いことではない。これは間違いない。 たんぱく質は私達の身体を構成する重要な栄養素であり、不足は免疫機能の低下をまねき病気にかかりやすくもなってしまうのだ。 しかしながら、何事もやりすぎは良くない。過度にすることで歪みは生まれてしまうのだ。 身体をつくるために重要なのはたんぱく質だけではない。何事もバランスをもって適切な分量があるのだ。 せっかくの筋トレも正しい知識と正しいやり方で取り組んでみてはいかがだろうか。それさえあれば、あなたが意図的に摂取するたんぱく質もあなたの味方になってくれるのだから。 参考資料: 「日本人の食事摂取基準」(2015年版)https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/eiyou/syokuji_kijyun.html 「タンパク質も過剰摂取はNG? ネットに広がるウワサを斬る!」 https://tarzanweb.jp/post-176099
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