男性だけじゃない?睡眠時無呼吸症候群のリスクと合併症について解説


いびきを観察してもらいましょう

家族や友人に、寝ている間のいびきを観察してもらいましょう。

ガーガー言っていたいびきの最中に、急にピタッと音が止まり、しばらくしてまた苦しそうにガーガー音が聞こえ始める、こんなことを言われたこと、またはこんな人を見たことはないですか?

このうるさかった音が止まっている間に、実は呼吸も止まっている可能性も高いのです。これが頻繁に起こる方は睡眠時無呼吸症候群を疑いがあります。

いびきをかくのは肥満体型気味の中年男性、というイメージがある方もいると思いますが、あまりいびきをかかない痩せた女性も無呼吸になります。

寝ているはずなのに、疲れが取れない、昼間に眠気がある、何をしていても疲れやすい、朝起きた時に頭がいたい、などの症状がある人は睡眠時無呼吸症候群を疑ってみてください。

さらには、あまり知られていないのですが、乳幼児や子供も無呼吸になります。子供が自分から訴えることをしないので、見過ごされることが多いのですが、脳に酸素がいかない状態が続くことで、赤ちゃんの突然死にもつながる可能性もある怖い状態ですので、親がよく観察してあげる必要があります。

睡眠時無呼吸症候群ってなに?

睡眠時無呼吸症候群には2つのタイプがあります。1つ目は脳が呼吸をしなさいという司令を出すことをサボってしまう中枢性のものと、もう1つは寝ている間に、呼吸するときの空気の通り道である気道が狭くなってしまい呼吸ができなくなる閉塞性のものです。

9割の人がこの閉塞性無呼吸症候群であるといわれていますが、どうして気道が狭くなってしまうのでしょう?

それは、首や喉の周りに脂肪がつくことや、扁桃の肥大、または舌の奥の方である、舌根と呼ばれる部分が喉の奥に沈下してしまったり、口蓋垂が同じように沈下してしまうことで起こります。よって肥満である人は無呼吸が起こりやすいのです。

しかし肥満であっても、喉の周りの骨格が大きい人は問題がない場合もありますし、痩せ型の人でも、元々の喉や顎の周りが小さい人は気道が狭くなりがちです。

また、子供に関しては、大人よりも体のサイズの割りには大きい扁桃腺や、咽頭扁桃(アデノイド)が肥大している場合があることや、気道が大人よりも柔らかく、呼吸によって潰れやすいこと、また、赤ちゃんは鼻の穴が小さいのでアレルギー性鼻炎やかぜを引いた時に鼻が詰まってしまい寝ている間に呼吸が出来なくなることがあげられます。

いずれのタイプも寝ている間に呼吸が止まる、つまり体への酸素の供給が止まってしまいます。長時間寝ているはずなのに、睡眠の質が著しく低下してしまいます。この睡眠時無呼吸症候群の患者の80%の人は疲れているのはいつも通り、と自己判断をし、医療機関を訪れることすらせずに診断がされないまま生活していると言われています。

睡眠時無呼吸症候群によって起こること

日本では過去に睡眠時無呼吸症候群の運転手が運転していた電車で脱線が起こり、多くの尊い命を一度に失った事故がありました。

これは運転手の居眠り運転が原因だったと報告されています。夜の睡眠の質が低下するともちろん日中に眠気が襲って来ます。

この事故のように気づかずに眠ってしまうこともあるのです。現在ではそのような事故を防ぐために、バスやタクシー会社でドライバーの社員に対して睡眠時無呼吸症候群の検査を受けることを推奨している会社も増えて来ています。

また、この病気は、前述した日中のだるさや疲労感の他、集中力が続かなかったり、イライラしたりすることもあります。それだけではなく、多くの深刻な合併症も引き起こされます。睡眠時の無呼吸がある人は高血圧であるリスクが1.4-2.9倍高くなるとわかっています。寝ている間に無呼吸に陥ると、体は寝ているのに脳だけは覚醒した状態になります。そのため、血圧をあげる方向に働く交感神経が活性化するため起こる状態です。

昼間に比べて、夜間に血圧が高い人は、心血管疾患にもかかりやすいことがわかっています。重症の無呼吸の人の場合、夜間の心房細動のリスクが4倍以上高かったという報告もあります。

さらに、糖尿病との関連も強いといわれており、これもまた、無呼吸の人は糖尿病発祥リスクが4倍になると報告されています。

高血圧、心臓病、糖尿病は生活習慣病と呼ばれていますが、これらは多くの人を悩ます疾患です。睡眠時無呼吸症候群の診断、治療を受けることでこの生活習慣病が改善の方向に向かうことも少なくありません。

さらに、子供に及ぼす無呼吸の影響は、大人とは少し異なります。睡眠時に正常な成長ホルモンが分泌されなくなり、身長や体重、また精神的な発育が遅れることがあります。また、集中力の低下から、学校の授業の集中できず学業成績に影響が出たり、多動になることもあります。ADHDだと診断された子供の中には、実際の多動の原因は睡眠時無呼吸症候群であったというケースも少なからず存在します。

検査方法と治療方法

睡眠時無呼吸症候群の検査は睡眠中にモニターをつけて脳の働きや呼吸の状態などを観察します。睡眠施設で一泊する検査が主ですが、最近では簡易型の検査として、患者さんの自宅でできる検査もあります。

この終夜ポリソムのグラフィーと呼ばれる検査では、AHI (Apnea hypopnea index) という値を測ります。AHIが5以上からが軽度の睡眠時無呼吸症候群であると診断されます。AHIが5というのは、10秒以上呼吸が止まるイベントが1時間以内に5回起こることを示すスコアです。5-15未満が軽度、15-30未満が中等度、30以上が重症です。10秒以上息が止まっている状態が30回以上起こっているなんて、想像しただけで恐ろしいですね。

このような状態では休まるはずの睡眠が逆効果になってしまいます。 検査によって診断がついた後、必要に合わせて治療が行われます。軽度の場合には、仰向けで寝ていた姿勢を舌が奥に沈下しづらくなるように横向きで寝るだけで、または枕の高さを変えるだけで無呼吸が改善することもあります。

効果的な治療法の中には、軌道内に陽圧をかけ、気道が狭くなることを防ぐ働きをするマスクであるCPAP(持続陽圧呼吸両方)と呼ばれるものです。マスクにも鼻マスクタイプやフェイスマスクタイプなど、使いやすい方法を選ぶことができます。しかし実際は、寝ているときにマスクをして眠るのは苦しくて辛い人が一定数おり、なかなかCPAPを使えない人もいます。さらに、それなりに大きい装置であるため、出張が多い人もこの装置を嫌う傾向があるようです。中等度以下の人には寝るときの顎の位置を少し前に固定するような、スリープアプライアントという上下の歯にはめるマウスピースを使う場合もあります。こちらの方は小型で持ち運びに優れています。しかし、朝起きたときのストレッチなどを忘れると、奥歯がかみ合わなくなったりという副作用もあるので注意が必要です。使用前には筋肉や顎関節に以上がないか歯医者でしっかりチェックをしてから作ってもらいましょう。

また、アデノイドの肥大が原因である場合は手術によって除去することもあります。全身麻酔をした状態で1時間くらいの処置をし、その後1週間ほどの入院をする場合が多いようです。

まずは気軽に病院で相談してみよう

日中のあなたの作業効率を下げないためにも、または事故を防ぐためにも、隠れた無呼吸に早く気づくことが大切です。

もし、あなたや、あなたの大切な家族の睡眠について思い当たることがあったら、気軽に病院で相談してみましょう。水蔭時無呼吸の検査、治療は医療保険も効くので安心です。

もし可能ならば、ケータイで睡眠中の無呼吸が起こっている状態の動画を撮ったり、いびきの状態を記録するケータイのアプリがあるので、それらのデータを医師に見せるのも、相談をするときの参考になるのでオススメです。



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