ストレッチのやりすぎは逆効果。ストレッチの新常識を紹介

スポーツをする人に限らず、柔軟性をとりもどしたり、健康のための運動の一環としておこわなれることも多いストレッチ。しかし、やりすぎたり、誤った方法で行うことで、筋肉を痛めたり、身体に悪影響を与えるかもしれないことがわかってきている。今回は、そんなストレッチの正しいやり方について解説していく。


運動前に行うのは、もはや常識というくらいに一般的になっているストレッチ。スポーツをする人に限らず、柔軟性をとりもどしたり、健康のための運動の一環として行なっている人も多いのではないだろうか。しかし、このストレッチ、実はやりすぎたり、誤った方法で行うと、身体にはむしろ悪影響を与えるかもしれないことがわかってきている。今回は、そんなストレッチの正しいやり方について解説していく。

ストレッチの種類

一口でストレッチと言っても、そのやり方と効果によって「静的ストレッチ」と「動的ストレッチ」の二つに分類することができる。

この二つを混同したまま、誤ったタイミングでストレッチを行うと、筋肉を負傷することなどに繋がりかねない。それぞれの特性を早速解説していこう。

静的ストレッチ

勢いをつけずにゆっくりと伸ばし、伸ばした状態を一定時間キープしながら行うのが静的ストレッチだ。
ストレッチと言った際には、この静的ストレッチがイメージされることが多く、開脚して体を前に倒したり、伸脚を行なったりするのもこれに当てはまる。

動的ストレッチ

身体を動かしながら筋肉を伸ばすのが動的ストレッチだ。身体を動かすことで、心拍数が上がり、身体を温めるなどの効果がある。運動前に行うことが効果的で、スポーツのウォーミングアップで行なっているのは、多くの場合この動的ストレッチだ。

こんなストレッチはNG?知っておくべき5つの新常識

ストレッチの種類が大まかにわかったところで、ストレッチに関する5つの大事なポイントを紹介していく。従来は正しいとされてきたものも実は誤りだったなんてこともあるはずだ。

運動前の静的ストレッチはパフォーマンスを下げる

上で紹介した、静的ストレッチと動的ストレッチ。動的ストレッチは運動前に行うのに最適とされているが、逆に静的ストレッチを行うのは、運動のパフォーマンスを下げることになる。実際の研究では、静的ストレッチを行うこと70%程度の力しか発揮することができないなど、瞬発力やパワーが明確に落ちることがわかっている。原因ははっきりとはわかっていないものの、静的ストレッチを行うと筋肉が弛緩し、力を発揮できなくなると説明されることが多い。この効果は60分程度続くことから、運動前の静的ストレッチはしないほうが良いと言える。

学校体育やスポーツの現場では、現在でも柔軟体操など静的ストレッチを運動前に取り入れている場合があるが、これらは大きな誤りなのだ。

痛いところまで伸ばすのはNG

痛いくらいまで伸ばしたほうが良い、そのほうが効果があるとされることが多かったストレッチ。実はこれは誤りであることがわかっている。痛みを感じるくらいまで伸ばしてしまうと、筋肉は怪我を防ぐために伸張反射を起こす。これにより筋肉は緊張状態となり、縮んで硬くなって結果的に柔軟性が失われてしまうのだ。

また、無理して伸ばすことで筋肉を断裂するなどの負傷に繋がる可能性もある。

長時間やるのもNG

長い間やったほうが良いというのもよくある誤解の一つだ。60秒以上キープすることで、その後の運動のパフォーマンスが落ちることがわかっている。基本的には短時間を何回か行なった方が効果があるとされている。最大20秒程度を目安に行うようにしよう。

息を止めてはいけない

ストレッチ中は伸ばすことに意識がいって、ついつい呼吸を止めがちだ。
息を止めると全身が緊張し、適切に伸ばすことができなくなる。体を伸ばすことを目的とした静的ストレッチを行う場合には、大きくゆっくりと呼吸をしながら行うことで、リラックスし、血流もよくなって効果的に伸ばすことができる。

筋肉痛への対処として行うのは誤り

よく、筋肉痛をやわらげるためにストレッチをする場合が多いが、これも筋肉を痛めかねない誤った知識だ。運動後で筋肉痛が出る前に行う静的ストレッチには、血流をよくして疲労を回復することに効果があるとされているが、実際に筋肉痛になってからは逆効果になる。

そもそも筋肉痛とは、筋繊維が傷つくことでおきるため、その部分が修復されないと治ることはない。ストレッチを行うことで、むしろ傷ついた部分を無駄に伸ばして、修復を妨げてしまう可能性もある。同様に、肉離れなど負傷に対しても筋肉痛はNGだ。このような場合にはしっかり休むことが重要になる。

目的に合わせて適切なストレッチを

ストレッチについての様々な新常識を紹介してきたが、ストレッチをする際に意識すべきなのは、何を目的にするのか、ということだ。それに合わせて動的ストレッチと静的ストレッチの適切な方を行うことが重要になる。
簡単にまとめると以下のようになる。
・運動前の準備として行いたい場合には、動的ストレッチを行うのが良い。体温を高めウォーミングアップと合わせて行うことができる。

・運動後の疲労回復や、入浴後の柔軟として行うには静的ストレッチを行うのが良い。全身に血流が行き渡り、リラックスした状態で行うことができる。

・柔軟性を高めたいのであれば、静的、動的どちらのストレッチを選んでも良い。ただし、静的ストレッチを行う場合には、長時間やるのは避けよう。また、ストレッチだけではなく遠心性収縮運動などを行うのも柔軟性を高めるには効果的だ。

・筋肉痛など筋肉に痛みを抱えているならば、基本的にはストレッチは行うべきではない。

まとめ

いかがだっただろうか。
一口にストレッチ、といっても種類があり、それらを正しく使い分ける必要があることが明らかになった。ストレッチは広く普及しており、さまざまな効果が期待できるからこそ、正しい知識をもとに無理のない効果的なストレッチを行うことが重要になる。今回紹介した知識を是非実践してみてほしい。
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