休肝日には効果があるのか?シニアの正しいお酒との付き合い

よくお酒を飲む人は、週に2日間は休肝日を設けるように言われることが多いが、実は休肝日には科学的な根拠がないことをご存知だろうか。休肝日に関する勘違いや、アルコールの健康的な摂取の仕方について解説していく。


ビジネスマンと酒は切っても切り離せない関係だ。忘年会をはじめとした飲み会ではもちろんのこと、日頃のストレスを発散するのに、居酒屋や自宅でよく飲むという人もいるだろう。ただし、飲み過ぎが体に悪いのはよく知られている通りだ。適量であれば百薬の長と言われているが、飲み過ぎればアルコール依存症や生活習慣病を引き起こしかねない。

この対策として、「休肝日」を設けておくのがよいと言われることがある。しかし、実は休肝日には科学的な根拠がないことがわかってきているのだ。今回は休肝日やアルコール正しい摂り方について解説していく。

休肝日とは

そもそも休肝日とは何だろうか。 よく言われるのは、文字通り飲酒を続けて肝臓を酷使しすぎないよう、定期的に肝臓を休ませる日ということだ。週に2日は休肝日を設定するのが良いというのを聞いたことがある人もいるのではないだろうか。厚生労働省が運営するe-ヘルスネットでも概ね同じ内容で以下のように定義されている。
肝臓を休めるために週に1日以上飲酒しない日を設けることを推奨する目的で作られた造語。 習慣的な飲酒を継続しているとアルコールは依存性薬物のため耐性が発生し、徐々に飲酒量が増加する危険性があります。 休肝日を設けると飲酒総量が減るので肝障害が予防できる可能性があります。(一部抜粋)
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/alcohol/ya-063.html
これだけみると、休肝日はやはり効果があるのでは?と思うかもしれないが、実は、この休肝日に関しては誤解がある可能性がある。これについてさらに詳しく見ていこう。

実は科学的な根拠がない休肝日

先ほどのe-ヘルスネットの定義には、実は以下のような記述がある。
休肝日を設けられるか否かで、肝障害の進展を予防するという科学的根拠はありませんが、アルコール依存症のような問題飲酒の顕在化には役立ちます。
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/alcohol/ya-063.html
つまり、休肝日の効果とは、1日飲まないことで一週間の飲酒の総量を減らすことができるというだけなのだ。休肝日を作ったからといって、他の日に多く飲んでいても、その分肝臓が回復してくれるという考えは誤りなのである。

もう1つの勘違いは、週に2日と言われるような休肝日の設定方法。休肝日を置く目安については俗説的に週2日、できれば連続して置くのが良いと言われることが多いが、休肝日の決め方について具体的に週何日設定するのが良いかというような研究結果も上がっていない。 こう考えると、休肝日というのは科学的に根拠があるため広まったというよりも、お酒をよく飲む人の飲酒量を、少しでも減らすために言われ始めたと考えるのが正しいようだ。では、健康に影響が出ないように飲むための正しい飲み方とは何なのだろうか。

アルコール分解の仕組み

健康への影響を考える前に、人間のアルコールを分解する仕組みを簡単に解説しておこう。

摂取したアルコールは胃と小腸でほとんどが吸収され、血液を通って全身に行き渡る。血液中のアルコールは、肝臓でアセトアルデヒド、さらにアセテート(酢酸)と分解されて形を変えていき、最終的に水と二酸化炭素となって体外に排出される。この分解の過程で生成されるアセトアルデヒドは、吐き気や頭痛の原因となる人体に有害な物質だ。 そしてこのアルコールやアセトアルデヒドなどの分解に必要となる、ALDHをはじめとする酵素の働きは、遺伝によって、ある程度決まっている。これが人によってお酒に強い、弱いが出てくる原因なのだ。 この仕組みを考えると、肝臓にとっては休肝日をとって1日休ませることよりも、急激かつ大量にアルコールの分解を強いるような、負担がかかる飲み方をする方が問題になることが予想できる。また、冒頭で言及した通り、アルコールの影響は肝臓に限らず生活習慣病をはじめ多くのことに影響する。このことから、飲酒の際に気をつけるべきは休肝日よりも、むしろ飲酒の量ということになるのだ。

意識すべきは休肝日よりも飲酒量

健康のためには休肝日よりも飲酒の量を意識すべきとはいえ、具体的には何を目安にどれくらい飲むのが適量なのだろうか。ここでは、飲酒量と健康リスクの関係について解説していく。

健康リスクとJカーブ

適切な飲酒量と健康の関係に関する研究は多いが、基本的に飲酒の量が少ないほど、高血圧や、肝臓に関わる疾患のリスクは少ないとされている。しかし、虚血性心疾患や、脳梗塞などといった一部の疾患に関しては、少量のアルコールを摂取した方が、アルコールを全く摂取しない場合もよりリスクが低下することがある。

以下は、欧米の飲酒量と総死亡の関係をまとめたグラフだが、飲酒量が全くない場合よりも、少量のアルコールを摂取している方がリスクが低い、いわゆるJカーブ型をとることが示されている。

一日の平均アルコール消費量と死亡率の関係(国外の14疫学研究のメタ分析)(https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/alcohol/a-03-001.html)
つまり、酒は基本的に全く飲まないか、あるいは飲む場合には、一定の量を基準に飲むのが重要なのである。

一回の摂取量

上記のJカーブのグラフをもとにすると、もっとも健康リスクが低いのは、1日のアルコール摂取量が10〜19gの時である。 実際に、厚生労働省が出す「健康日本21」というガイドライン内でも、1日のアルコール摂取の適量として、アルコール20g程度と記載されている。では、アルコール20gとは、実際の飲む量に換算するとどれくらいのなのだろうか? 目安としては、ビールであれば中ビン半分程度(500ml)、日本酒であれば1合(160ml)、酎ハイで缶1本(350ml)、ワインでグラス2杯程度(200ml)といったくらいだ。 こうみると、1日の飲酒の適量というのは少なく感じるかもしれないが、健康のためにはできるだけ守るようにしよう。ただし、どうしてもこれ以上飲む日がある場合には、一週間でのトータルの飲酒量が、20g×7日 = 140gを超えないように、多く飲む前後の日は飲酒量を減らすなどして対応することでリスクは減らすことができると考えられている。 この摂取量の目安は、性別や体格によって変わる他、世界各国で適量として設定されている数値にもかなり幅がある。お酒好きには辛いかもしれないが、健康のことを考えるならば、酒はできるだけ控えるのがやはり良いと言えるだろう。

まとめ

いかがだっただろうか。今回は、よく取り上げられる休肝日に関して解説し、休肝日それ自体には科学的な根拠はないことが明らかになった。一方で、健康へのリスクを下げるためには飲酒量に気を使うべきことが分かったが、その適量は普段から飲酒をする人にとっては物足りない量かもしれない。

そう考えると、あくまでも一週間の飲酒の量を減らす目的で、休肝日の設定をしてみるのは効果があるともいえる。みなさんも、お酒との付き合いにはくれぐれも注意してほしい。
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