筋トレをすると眠りが深くなる?筋トレと睡眠の関係を解説

質の高い睡眠を十分とることは、ビジネスマンにとっての大きな関心事の一つだ。この睡眠に、筋トレが大きく関わる事が明らかになってきている。睡眠と筋トレの関係、そして効果的な睡眠とはどのようなものか、を紹介していく。


筋トレというと見せるための筋肉を鍛える、というイメージが強いかもしれないが、実は睡眠とも深い関係があることがわかっている。
質の良い睡眠をとり、健康的な生活を送るための一つの要素として、筋トレという視点から、睡眠を解説していく。

「筋トレをすると睡眠の質があがる」は本当か

筋トレが睡眠に与える影響を紹介する前に、まず睡眠の質が上がる、とはどういうことだろうか。
一言で睡眠といっても、脳の状態から睡眠はいくつかの種類に分けることができる。
まずは睡眠の仕組みから解説していこう。

睡眠の仕組みとは

レム睡眠やノンレム睡眠という言葉は読者の中にも聞いたことのある人が多いだろう。
横になってから、起床するまでの状態は大きく以下の五つの状態に分けることができる。

入眠潜時

覚醒状態から眠りに入るまでの時間のことを指す。横になっているが意識はあるという状態だ。

レム睡眠

眼球運動(Rapid Eye Movement)がある状態をのことを指し。頭文字をとってREM(レム)睡眠と呼ばれている。睡眠の状態としては浅く、夢を見やすい状態でもある。
ノンレム睡眠に比べて原始的な眠り、とも言われており、脳は覚醒状態なのも、外敵から身を守るための名残と言えるのかもしれない。

ノンレム睡眠 ステージ1 ~ ステージ4

一般的にノンレム睡眠として知られているこの睡眠状態は、発せられる脳波の状態からさらに4つに分けることができる。ステージ3と4は低周波のδ波が多い状態で、まとめて徐波睡眠とも呼ばれる。

ノンレム睡眠は脳を休める睡眠とも言われ、レム睡眠に対して、深い眠りの状態で、ステージが上がるごとに眠りの状態は深くなっていく。

人間は、このレム睡眠とノンレム睡眠の4ステージを90 〜 110分の感覚で繰り返す。睡眠の質が高いとは、このサイクルの中でノンレム睡眠の状態、とりわけステージ3, 4の徐波睡眠の時間が、長くなることであったり、眠りに入るまでの入眠潜時の期間が短かい事などを指すと言える。

筋トレが与える睡眠状態への影響

では、筋トレは、このような睡眠の状態にどのような影響を与えるのか。

2017年にカナダのマックマスター大学のKovacevicの研究では、レジスタンストレーニングによって、レム睡眠の時間が減少し、ノンレム睡眠(中でも徐波睡眠)の時間が伸びることが明らかになっている。レジスタンストレーニングとはからだに抵抗負荷(レジスタンス)をあたえる事で、いわゆる「筋トレ」のことだ。筋トレが、まさしく、睡眠の質を改善することが証明されたのだ。

筋トレが睡眠の質を改善する仕組み

まず挙げられるのは、筋トレによって睡眠中の体温が上昇し、徐波睡眠の状態が誘発されるということだ。
他にも、迷走神経の活性化に伴う心拍数の低下や、分泌されるホルモンの変化、運動に伴う不安の解消といった理由もあると推察されている。
筋トレをした疲労感により、寝入りやすい、ということもあるかもしれない。筋トレを行うことと睡眠の質改善のメカニズムはまだ不明なことも多く、今後の研究にも注目したいところだ。

睡眠が筋トレに与える影響

ここまで、筋トレが睡眠の質改善に与える影響について紹介してきたが、逆の視点から見ると、筋トレの効果を得るためにも、睡眠は重要である。

筋トレによって筋肉が鍛えられる仕組みをご存知だろうか。
簡単にいうと、筋トレによって一度破壊された筋肉が、24時間 〜 48時間かけて超回復を経ることで、より激しい運動に耐えられるよう、もとよりも筋肉の肥大する、という流れだ。
この超回復に当たっては、栄養補給と休息が必要であるとされている。
十分な睡眠時間を確保することで、筋肉の成長に必要なタンパク同化ホルモンが分泌され、逆に筋肉を破壊するコルチゾールなどの分泌は抑えることができるのだ。

また、そもそもエネルギー不足を起こしたり、疲労感を残さないためにも睡眠は重要だ。万全のコンディションで筋トレに集中し、怪我などを起こさないためにも、きちんと睡眠を取ることが重要になる。

睡眠のための、筋トレのタイミング

筋トレと睡眠の関係が明らかになったところで、最後に、良い睡眠を取るための正しい筋トレのやり方やタイミングを紹介する。

睡眠のために一つ意識したのが、交感神経と副交感神経の状態だ。
人間には交感神経と副交感神経が存在する。交感神経は日中に優位な神経で、緊張状態を生み出す。一方で副交感神経はリラックス状態の神経だ。もちろん、睡眠の質を高めるためには副交感神経優位な状態にする必要がある。そうすることで、ホルモン分泌を増加したり、寝つきがよくなるとされている。

しかし、注意したいのは筋トレは交感神経を刺激するということだ。
眠る前に激しい筋トレを行ってしまうと、交感神経優位な状態となり、寝つきが悪くなったり、睡眠の質を下げかねない。

筋トレを行う際には、最低でも就寝時間の1時間くらい前までにして、寝る前はリラックスした体の状態を作るようにしたい。

まとめ

いかがだっただろうか。

筋トレ、というとマッチョなイメージがあるかもしれないが、今回は睡眠の質も改善するなど副次的な効果も期待できることを紹介してきた。睡眠や生活習慣病など、健康への課題が叫ばれる現代において、筋トレは筋肉をつけるだけでなく、健康な体をつくるという広い意味で、最も効果的な運動の一つといえるかもしれない。

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