二日酔い後のサウナは命の危険も。正しい二日酔いの対策とは

二日酔いの辛い症状への対策として、サウナに入るのが効果的と言われることがあるが、実はこれは命の危険を引き起こしかねない、危うい対処法だ。二日酔いとサウナの関係を正しく理解して、二日酔いに対処する方法を解説する。


  • 頭痛、吐き気、胸焼け。こんな二日酔いの辛い症状への対策として、サウナに入るのが効果的と言われることがある。しかしこれは大きな誤りだ。サウナは身体に問題がない状態で入る分には、新陳代謝を高め、心身をリラックスさせるなど多くの効果が期待できるが、二日酔いの状態ではむしろ命の危険を引き起こしかねないくらい、悪く働いてしまうことが明らかになっている。

    今回は、そんな二日酔いとサウナの関係や正しい二日酔いの対策について解説していく。

そもそも二日酔いとは

ほとんど誰もが知っているあのつらい症状が何故起きるのかについては驚くほど解明されていません。有力な説として、軽度の離脱症状・ホルモン異常による脱水や低血糖・体の酸塩基平衡のアンバランス・炎症反応・アセトアルデヒドの影響・酒に含まれるメタノールや不純物などが挙げられています。しかし最も的を射ているのは、単一要因ではなく既述の要因または未だ不明の要因が複雑にからみあって二日酔いが生まれるという説明でしょう。
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/alcohol/a-03-005.html
そもそも二日酔いとはどのような仕組みで起こるものなのだろうか。
厚生労働省が運営するe-ヘルスネットでは、以下のように紹介されている。

二日酔いとサウナの関係

このように様々な要因が絡み合うことでなるとされる二日酔いだが、ここでは一般的に良く言われる、アセトアルデヒドが原因とする説について紹介しておこう。

そもそも酒に含まれるアルコールは胃腸で吸収され、最終的には肝臓で処理される。

肝臓では送られてきたアルコールをアセトアルデヒド→酢酸→二酸化炭素と水という順に分解していく。しかし肝臓が分解できるアルコール量には限界があり、その容量を超えた分が毒性の強いアセトアルデヒドのままの状態で残り、血中に流れてしまうことで頭痛や吐き気といった、二日酔いに特有の症状が引き起こされるとという仕組みだ。

上記で言及した通りさまざまな原因があるとされる二日酔いだが、今回はこのアセトアルデヒドが原因とする説を中心に二日酔いとサウナの関係について明らかにしていく。

二日酔いにサウナが効果的とされてきたのは、サウナに入ると大量に汗をかき、スッキリした気分になることが原因だろう。しかし、実際には、汗を書くことでアルコールが放出されることはなく、二日酔い対策に効果があるという科学的な根拠は存在しない。むしろ、冒頭に紹介した通り、サウナによって健康を害する可能性が高いのだ。
しかし本来は心身に良いとされるサウナが二日酔いには悪影響となってしまうのは何故なのだろうか。これは、サウナにおいて汗を大量にかき、体内の水分が減ってしまうことと大きく関係する。

早速二つのポイントを紹介していこう。

アルコールの分解を妨げる

二日酔いの状態では、前述の通り、血中にアセトアルデヒドが大量に存在する。本来はこのアセトアルデヒドを分解し、排出するためには、大量の水が必要となるのだが、サウナで汗をかくことで体内の水分は減少し、逆に血中のアセトアルデヒドの濃度が高まってしまう。
また、サウナは血行を改善する効果もあるため、アルコールを分解するために肝臓に集めるべき血液を全身に行き渡らせてしまい、アルコールの分解を妨げることになってしまう。

この結果、二日酔いの症状が長引いたり、悪化してしまうのだ。

脱水症状による、二日酔いに止まらないリスク

そもそも、二日酔いの状態ではアルコールによる利尿作用で軽い脱水症状になっている。二日酔いには水を飲んだ方が良いとされるのはこれが理由でもある。
この状態でサウナに入ると、大量に汗を放出してこの脱水症状をさらに悪化させてしまうのだ。これによって、血液が普段よりもドロドロとして血栓ができやすい状態となり、場合によっては心筋梗塞や脳梗塞を引き起こすことに繋がりかねない。
また、サウナは血管を拡張する効果もあることから、血圧が急激にさがり、脳に十分な血液が送られずにめまいや意識障害を起こしてしまうことも考えられる。

シャワーかぬるま湯が最適

このように、二日酔いの際のサウナは、二日酔いを悪化させることに限らず多くのリスクを伴う。また、汗をかくことによる脱水症状が様々な問題を引き起こすという仕組みを考えれば、風呂に入って汗をかくことも同様に悪影響を及ぼすことがわかるだろう。

しかし、二日酔いで気分が優れない時こそ、風呂等に入ってさっぱりしたいもの。そのような場合には、ぬるま湯のお湯につかったり、シャワーだけで我慢するなど、なるべく汗をかかないようにしたい。

正しい二日酔いの対策とは?

二日酔いに良いとされてきたサウナは実は全く逆のリスクを伴うことがわかった。では、つらい二日酔いの対策には何をすれば良いのだろうか。

覚えておきたい基本の三つのポイントを紹介する。

水分補給

とにかく重要になるのが水分補給だ。脱水症状になることのリスクは、繰り返し説明したが、アルコール成分を尿として排出するためにも水が必要となることから、水分は大量に摂取すべきだ。

具体的には水でも良いが、スポーツドリンクや経口補水液などが吸収が早いため効果的とされている。ただし、これらは糖分や塩分を多く含むため、飲みすぎると逆に体調を崩しかねない。水と併用しつつ飲むのが正しい飲み方と言える。

カフェインを含むお茶やコーヒーは利尿作用があるためあまり勧められないが、脳を覚醒させる作用により、二日酔いの症状をやわらげる効果もあるため、カップ一杯程度の少量であれば飲んでも良いだろう。

糖分やアミノ酸の摂取

二日酔いの状態では、低血糖を併発している可能性が高いため、糖分を補給することも重要だ。糖分の中でも果糖、すなわち果物に含まれる糖分が良いとされている。フルーツの中では柿が効果的とされているが、気分が悪くそのまま食べられない場合には、水分補給と果糖の摂取を同時に行えるという意味で、果汁100%のジュースを飲むのもおすすめだ。

また、アルコールを分解する肝臓の働きを高めるとされていることから、アミノ酸の摂取をすることで、二日酔いが改善することも期待できる。こちらは食事で摂っても良いが、サプリを利用することも、二日酔いの状態では賢い方法だろう。

一番は飲みすぎないこと

上記で紹介した通り、二日酔いになった際には水分補給や糖分の摂取など、対策は存在するが、一番の対策は二日酔いになるほど飲みすぎないことだ。人間は個人差があるものの1時間あたりに分解できるアルコール量には限度がある。自身の限度を理解した上で、適切な量の飲酒におさえておくことが何よりも重要であることを肝に銘じておこう。

まとめ

いかがだっただろうか?
よくある二日酔いの際にサウナに入るという対策は、二日酔いを悪化させるどころか、心筋梗塞や脳梗塞を引き起こしかねないことを理解していただけただろうか。サウナというのは血圧や心臓に負担を伴うことを理解して利用するようにしよう。

お酒を飲んで二日酔いに苦しむというのは、現代に始まったことではない。旧約聖書にも二日酔いの記述があるなど、人と酒との付き合いが続く限り、ずっと付いて回るものだろう。
だからこそ、正しい知識をもとにお酒と付き合っていくことが重要だ。

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