マインドフルネスは日本人を救うか。

マインドフルネスは日本人を救うのか ーー。宗教と重ねて考えられ、多くの日本人にとっては「怪しいもの」として捉えられてきたマインドフルネス。そんなマインドフルネスは、日本人に救いの一手を差し出すのかもしれない。米IT企業を中心に注目を集めるマインドフルネスの可能性について、SALUCEが解き明かす。
SALUCE 編集部


「マインドフルネス瞑想は日本では受け入れられないだろう。」

これまで日本のマインドフルネス瞑想に関して出されていた結論である。

マインドフルネス瞑想とは、「目を閉じて深く静かに思いを巡らせることで、リアルタイムで、自分を客観視出来ている状態を作り出す行為」のことを指し、ストレスの軽減や生産性の向上などのメリットがあると考えられている。

しかしながら、仏教の教えに根ざして生まれたマインドフルネスは宗教と大きく関連付けられて考えられるため日本では受け入れられないものとして考えられているのではと考えられてきた。日本人が外国の人と比べて宗教に対しての意識が低いのと同様に、マインドフルネス瞑想に対しても同じ結果で終わるだろうというものだ。

ただ、このマインドフルネス瞑想が日本において一つの救いの手になりうるかも知れない。

マインドフルネス先進国のアメリカ

アメリカでは近年、かつてはヒッピーと呼ばれる一部のアングラ的なものとして捉えられていたマインドフルネスであるが西海岸を中心に注目を集めるようになってきた。GoogleやFacebookといった世界的なIT企業が導入していることは決して新しい情報ではないかもしれない。

勿論、この大きな動きを資本主義市場は見逃さない。

アメリカでは、瞑想×テクノロジー のマインドフルネススタートアップのCalmが先日ユニコーン入りを果たした。注目を集めるのはCalmだけではない。HeadspaceやSimple Habit、Shine、Journy Liveといった瞑想コンテンツを提供するサービスが次々とVCから資金調達を行っている。市場規模は2016年時点で1200億円、2022年には2000億円を突破すると予想されている。(https://mindfulencer.com/2018/09/29/business/)

これらの背景には、アメリカにおける精神疾患の患者数の多さもという社会背景がある。現在、アメリカでは、うつ病などの精神疾患の患者数は4500万にのぼると言われており、前世代でうつ病と診断された人の数が増加しているのであるが、特に10代やミレニアル世代で顕著に増加している。理由としては、SNSの発達やそれに伴う睡眠時間の不足が上げられるだろう。
うつ病を含む精神疾患に対する認識の変化により医療機関への受診者数が増えたことも勿論考えられるが、それ以上にソーシャル・ネットワーキング・サービスが生む若者の社会的な孤立や依存の問題は大きいだろう。健康保険会社のCigmaが発表した調査データ(https://www.multivu.com/players/English/8294451-cigna-us-loneliness-survey/docs/IndexReport_1524069371598-173525450.pdf)によると、年齢が若くなるにつれて孤独を感じていると回答する人の割合は高まっていくという。デジタルネイティブと言われるミレニアル世代やZ世代は他の世代の中でも45%を超えるとりわけ高い割合だ。
https://www.bcbs.com/the-health-of-america/reports/major-depression-the-impact-overall-health

テクノロジーの進化によってうまれたこの孤独や不安といった感情の歪みは、物質的な充足よりも精神的な充足に目を向ける時代の到来を告げている。マインドフルネス瞑想がアメリカのシリコンバレーを中心とした情報感度の高いビジネスマンを中心に流行したのは頷ける。何故なら彼らは自分たち自身が変容させた多くの人間の価値観の変容に対して最も敏感であり、その歪みの大きさや恐ろしさを自覚しているからだ。

Twitter社のChris Wetherell氏はBuzfeedのインタビューに対してメンタルヘルスの観点からTwitterのリツイート機能を作ったことを後悔したと答えている。GoogleやFacebookといった大きなSNSを発明してきたIT企業たちが率先してマインドフルネス瞑想を取り入れている。

日本でのマインドフルネスの可能性

はたして、日本はどうだろうか。

日本でも社会背景は同様に深刻だ。精神疾患患者数は400万人弱と言われており、過去15年間で精神疾患の患者数は倍に膨れ上がった。勿論、アメリカと同様に情報がオープンになることでうつ病などの精神疾患に対する認識が変化し病院への受診者数が増えたことは一つの原因に挙げられるだろう。しかしながら、理由はSNSなどのインターネットの発達や、家庭環境や労働環境といった環境要因が大きい。

身近な家族や友人にうつ病の患者がいると答える人も少なくないはずだ。
精神疾患と判断されていなくても、多くのビジネスマンや若者が不安やストレスを抱えていることを自覚してる。

日本のベンチャー界でもアメリカと比べるとわずかではあるが、マネックスやライフネット、マネーフォワードなどに投資をしていた投資家の谷家 衛氏が東洋的価値観の必要性を訴え、ポスト資本主義的な動きを作ろうとスタジオ・ヨギーやCampus for Hを支援していたり、2019年にはゲーム会社のアカツキがマインドフルネス・瞑想×テックのヒューマンポテンシャルラボに出資を行うなど少しずつだが流れは生まれている。(https://aktsk.jp/press/14129/)
これらの動きを見ても、かつて同じ宗教的な印象を持たれていたヨガが日本で爆発的なブームを起こしているように、今後マインドフルネスが資本主義市場でも注目されていく可能性は大いにある。

現代社会において、「幸せに生きるとは何か」が見直されようとしている。
物質的に充足することよりも精神的な充足を求める流れが若者世代を中心に起ころうとしている。

どちらにせよ、我々にとってメンタルヘルスの問題は深く無視できるものでは無く決して他人事では終わらない。マインドフルネス瞑想はそんな忙しい現代においてメンタルヘルスの問題に手を差し伸べる一手となるだろう。

「マインドフルネス瞑想は日本では受け入れられないだろう。」
この言葉が過去の誤った見解として扱われるそんな未来も決して遠くないのかも知れない。
筆者はより心が豊かに生きられるそんな未来を望むばかりである。

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