通勤、通学時間が心身に与える影響とは

満員電車のストレスは、かなり大きなものだが、近年の研究では通勤や通学にかかる時間が、長ければ長いほど、心身の健康や睡眠などにも悪影響であることがわかってきている。
通勤通学時間が長いことのデメリットや、効果的な通勤時間の使い方を解説していく。


電車による通勤や通学は、多くの人が経験していることだろう。しかし、この通勤時間、長ければ長いほど、生活上マイナスになることが多い。特に、首都圏の混雑したラッシュアワーを経験しているなら、なおさらストレスが溜まり心身に悪影響が出ている可能性がある。通勤通学時間というのは、すぐに短くするのが難しいものだが、それらを短縮することによる生活への影響は想像よりも大きいものとなるはずだ。
今回は、通勤通学時間が長いことのデメリットや、効果的な通勤時間の使い方について紹介していく。

通勤、通学時間が長いことのデメリット

時間というのは、忙しく生きる現代において、想像以上に大事なものだ。そのため、通勤時間、通学時間が長いことには、基本的にはデメリットが多い。なぜなら、通勤通学の時間というのは、基本的には移動することが目的であり、何か活動をするにはあまり向いておらず、ただ過ごすだけの時間となりがちなためだ。

考えてみて欲しい。通勤に1時間かかるとすると、往復で1日2時間、平日だけだとしても1ヶ月で40時間強、一年では500時間程になる。通勤時間というと仕方のないものとして見過ごされがちだが、毎日これだけの時間を消費することが決まっている、という事実に、我々はもっと意識をむけるべきだろう。
では、通勤時間が長いことで、具体的にどのようなデメリットがあるのだろうか。

睡眠の質が下がる

通勤時間が長いと睡眠の量と質が下がる可能性がある。
そもそも、睡眠に当てられる時間は通勤時間が長いほど短くなってしまう。長いだけ早起きする必要があり、帰ってくる時間も遅くなることで、そもそも睡眠に使える絶対的な量が減ってしまうのだ。
また、電車内で寝ているという人もいるかもしれないが、電車内で寝てしまうことで、睡眠の質は、むしろ下がる可能性がある。一般的に昼寝はいいものとされているが、30分以上とることで、ノンレム睡眠に入り、夜の睡眠の質を下げることになるかもしれない。また夕方以降、すなわち帰宅時にとる数十分の睡眠というのも同様に、本来取るべき、夜間の睡眠の質を下げてしまうことになるのだ。

仕事への満足度が低下する

イギリスの西イングランド大学がおこなった調査によると、通勤時間が長いほど、仕事の満足度が減ることがわかっている。具体的には、20分通勤時間が増えると、給料が19%減ったのと同じ程度の満足度の低下が見られるという。

もちろん、イギリスと日本の通勤事情はそっくり同じではないため、この数字をそのまま日本に当てはめることはできないかもしれないが、それでも、この結果は驚きだ。特に、日本のラッシュ時の混雑は欧米に比べても激しく、首都圏では乗車率が180%を超えるなど、海外よりもストレスを感じやすい通勤環境であると言える。
また、この調査では仕事だけでなくプライベートの満足度も、通勤時間が長いほど下がることも示されている。
そのメカニズムは解明されていないものの、通勤時間の長さは満足度のようなメンタルに対しても、関係があることが示唆されているのだ。

健康への悪影響

通勤時間の長さは、健康に影響することも示唆されている。カリフォルニア大学がおこなった調査によれば、通勤時間が長い人ほど、肥満が多い傾向にあることがわかっている。
また、ブラウン大学の研究によると通勤時間が1分増えると、運動時間が0.0257分ずつ減ることもわかっている。このことから、そもそも運動に使える時間自体が通勤によって減ることで、肥満をはじめとした健康への影響が出ていると考えられる。ちなみにこのブラウン大学の研究では、通勤時間1分につき、先ほど取り上げた睡眠時間も0.2205分減少していくことが示されてもいる。
メンタル面だけでなく、身体に対しても、長時間の通勤というのは悪影響になりそうだ。

効果的な時間の使い方とは

ここまで、通勤時間が睡眠や健康に与える様々な悪影響について紹介してきた。このことから、短くできるのであれば、通勤時間を極力短くした方が良いと言えるだろう。
できるのであれば引越しを検討したり、近年注目されている在宅勤務(テレワーク)が可能な会社に勤務しているのであれば、その制度を利用することも考えてみよう。
とはいえ、これらの対策はそう簡単には実現できないものだ。引越しといっても家族がいたり、家を買っている場合にはすぐできるものでもなく、テレワーク制度もまだまだ使える企業は多くないのが現実だ。
だとすると、通勤の時間をいかにうまく使うか、という点が重要になってくるろう。
具体的には以下のような方法をオススメする。

本や新聞を読む時間に充てる

満員の車内では、実際の本や新聞を取り出して読むのはなかなか難しいが、スマホを使うことができる場合には、本や新聞を読むことができるだろう。
本に関してははAmazonが提供する、kindleなどのサービスを使えば、好きなタイミングで購入した全ての本の中から読みたい本を選ぶことができる。また、ニュースに関しても、各紙がデジタル版を提供しているほか、様々なインターネット上のニュースメディアが存在するため、自分にあったものを選び、読むことができる。

通勤時間が長いのは悪影響が多いとはいえ、考え方を変えれば毎日の朝夕に、ある程度まとまった自由に使える時間を確保できている状態とも言える。これをいかに有効に使えるかは、強調なしにその後の人生に大きく影響するだろう。

仕事の準備に当てる

会社でおこなっていた仕事のうち、電車内で行えるものがないか検討してみよう。もちろんできることは限られるが、会議の段取りを考えるなど、出社後にしていた仕事の一部や、その準備を電車内で行うことで、職場についてから使える時間は大きく変わるはずだ。
満員の車内ではスマホを見るのもままならない、ということもあるだろう。また、揺れる車内でスマホの画面を見続けるのは視力の低下の危険もあり、ある程度時間は限った方が良い。

そこでオススメなのが、ラジオを聞くことだ。ラジオであれば両手を使わずイヤホンを耳につけておくだけでよいため、満員の車内でも利用しやすい。
NHKラジオがニュースを聞く上では代表的とも言えるが、最近ではvoicyという音声メディア上で、ニュースに限らず多くの内容が配信されておりオススメだ。また、iphoneに初めから入っているpodcastアプリ上でも、ニュースをはじめとした多彩なコンテンツを楽しむことができ、自分の聞きたい内容にあったチャンネルを探すことができる。androidユーザーもcastboxというアプリをダウンロードすることで、podcastは利用できる。
手を使えず、文字を読みにくい通勤時間には、耳をうまく使って情報収拾するのが賢いやり方かもしれない。

ラジオが実はおすすめ

まとめ

いかがだっただろうか。今回は、通勤、通学時間の長さが身体に与える悪影響や、有効な通勤時間の使い方について紹介してきた。もちろん、短くするに越したことはないが、長い通勤時間というのは、郊外に住んで、都市部で働くという仕組みがある程度出来上がっている以上、すぐには解決されない問題でもある。
ならば考え方を変えて、いかに有効に通勤、通学時間を使えるかが、重要になるだろう。ぜひ自分にあった有効な時間の使い方を見つけてみて欲しい。
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