記憶力を飛躍的にアップさせるイメージ記憶とは

もっと記憶力があれば、と思ったことは一度や二度ではないはずだ。ビジネスシーンであれば人の顔と名前を一致して覚えておいたり、以前出た話題をすぐに思い出せることは、場面によって必要になることだろう。
今回は、そんな記憶力をアップさせるイメージ記憶という記憶術について紹介していく。


もっと記憶力があれば、と思ったことは一度や二度ではないはずだ。ビジネスシーンであれば人の顔と名前を一致して覚えておいたり、以前出た話題をすぐに思い出せることは場面によって必要になることだろう。
手帳やスマホにメモしておいたり、必要に応じていつでも検索できるようになったことから、記憶しておくことの重要性は相対的に下がってきているとも言えるが、何かを考えたり、人と話す時など、いちいちなんだったけと調べるよりも、覚えていた方が便利な場面も多い。
今回は、そんな記憶力をアップさせるイメージ記憶という記憶術について紹介していく。

そもそも記憶とは?

そもそも人間の記憶は感覚記憶、短期記憶、長期記憶の3つに分けられることをご存知だろうか。

感覚記憶は街を歩いていて見た風景などで、いわばその瞬間だけのすぐに消える記憶だ。特別覚える必要がないため、1秒程度で消えていくとされる。
短期記憶はもう少し長い記憶で、例えば書かれている電話番号を覚えて、電話に入力する時などが当てはまる。目的を済ませればすぐに消えてしまう、その場限りの記憶というわけだ。
一般的に記憶力と呼ばれるのは3つ目の長期記憶と言われるものだ。これは文字通り長期間覚えているもので、場合によっては一生記憶され続ける。記憶力を鍛える、ということは覚えたいことをいかに長期記憶として保存するか、という問題でもあるのだ。

そんな記憶力だが、記憶力の良さは生まれつきのものと思われていることが多い。確かに先天的に記憶力がずば抜けている人というのはいるが、そのような人はごくわずかだ。身の回りの記憶力に優れている多くの人とあなたは、能力という意味では大きく変わらないのである。ここで問題になるのが記憶の仕方だ。脳の仕組みを正しく理解することで、脳が覚えやすい効率的な覚え方をすることができるようになる。

記憶の鍵は海馬にある

記憶をする上で重要と考えられているのが、脳にある海馬という器官だ。これは、脳に与えられる大量の情報から、何を記憶するかを判断している部分と考えられている。脳には当然記憶できる量に限界がある。それこそビデオカメラを回すように、生まれてから死ぬまで、目に映ったもの、聞いたものを全てをそのまま記憶していては、脳はパンクしてしまう。そのため、生きていく上で必要と判断したものみ記憶していくことが必要になるわけで、必要と判断されたものが、記憶として残されるというわけだ。つまり、記憶力をあげるには、覚えたいことが重要な情報だと海馬に判断させることが重要になるのである。

記憶しやすいものの特徴とは

人間の長期記憶は、さらに陳述記憶と非陳述記憶の2つに分類できるとされている。
陳述記憶とは言葉で説明できる記憶のことで、さらにエピソード記憶と意味記憶の2つに分けられる。非陳述記憶とは言葉で説明できない、体験に基づく記憶のことで、手続き記憶とプライミング記憶の2つに分類される。
それぞれ簡単に説明していこう。

エピソード記憶とは、自分が経験したものに関する記憶で、例えば今日の朝に何を食べたか、といったものだ。

意味記憶とは、いわゆる知識に当たるもので、日本で一番大きい山は富士山である、といったことや、犬に関連して、哺乳類、鳴き声は「ワンワン」、四足歩行、大きさと言ったことが思い出されることなどが当てはまる。

手続き記憶は箸の使い方、運動の仕方など身体で覚えている記憶のことだ。

プライミング記憶は少し特殊だが、以下の言葉を見てみて欲しい。
じゃがいも、さといも、さついまも、やまいも

「さついまも」だけ言葉が入れ替わっていることに気づいただろうか。このようにすでにある経験(記憶)が、後に経験するものに影響することをプライミング記憶(プライミング効果)という。

これを見ると、人間は言語的な情報をそのまま文字として記憶するというよりも、体験などの実際に起きたことや意味付けがあるものを記憶するということが言えそうだ。
読者の皆さんも学生時代に勉強していた時のことを思い出して欲しい。辞書に書いてあることや、歴史の年号などを情報としてそのまま覚えるのはとても大変だが、語呂合わせをしたり、先生が何かエピソードと共に紹介したことは覚えているはずだ。
このように、情報を体験として記憶したり、意味付けをすることで、海馬はそれを生きていく上で重要な情報と判断し、効率的に記憶できるということだ。

イメージ記憶術

上記のような脳の仕組みを踏まえた上で、有効とされるのが今回の本題である、イメージ記憶だ。これは、覚えたい事柄を知識や文字としてではなく、頭の中に絵(イメージ)として思い浮かべることで記憶するという方法である。

例えば、自己紹介した時を思い浮べよう。仮に相手の人が「山田」という名前で、出身は大阪、テニスが趣味、娘が2人いるという紹介をされた場合、通常は今記述した通り、言葉に変換した情報として理解するはずだ。
イメージ記憶ではこれを、「田に囲まれた山の上のテニスコートで、娘2人がテニスをしているのを、たこ焼きを食べながら見ている人」を想像する。そうすると、思い出す時に以下のようなとっかかりを得られるというわけだ。

何をしている?テニスをしているのは、「趣味がテニス」だからだ。
どこでテニスをしている? 田の上の山だから、確か名前は「山田さん」
テニスをしているのは誰か?「娘が2人」いると言っていた。
何か食べている?たこ焼き、つまり「大阪出身」だったはずだ。

とこのような具合である。あくまでも一例だが、イメージ記憶がどういったものか掴めただろうか。

イメージ記憶で想像する際には、正しさやまともさを気にする必要はない。むしろ、なるべく突飛で、現実にはあり得ないような絵を想像する方が、脳が刺激され覚えやすくなるのである。

また、覚えるのにわざわざ余計なものを考えるのは無駄のように感じるかもしれないが、この余計なことこそ重要で、無機質な情報ではなく何かしらの関連付けとエピソードがあるからこそ、脳が必要なことと判断して記憶するということなのだ。

イメージ記憶術の実践方法

イメージ記憶術がどういったものかわかったところで、身につけるポイントを紹介していこう。イメージすることは慣れないと難しく感じるかもしれないが、気負うことはなく、思ったままに思い描いてみよう。

言葉をイメージに変換することに慣れる

いきなりイメージ記憶を実践する前に、まずは言葉をイメージとして思い描くトレーニングをしてみよう。例えば、辞書を開いて、目についた単語をすぐにイメージとして思い浮かべられるか試してみて欲しい。

実際にここでもやってみよう。

いちご、イス、ポスター、水、渋谷、地球、旅行

いかがだろうか、具体的ないちごなどは想像しやすいが、地名や抽象的な言葉になるほど、難易度は上がるはずだ。想像する時には、できるだけものを細部まで描いたり、また1つの言葉でも色々な描き方をすることで、言葉をイメージに変換する力がつき、記憶にも定着しやすくなる。

感じたままのものを想像する

イメージを描く際に注意したいのは、正しいものを思い浮かべる必要はないということだ。思い浮かべるものは、それまでの経験やその時の感情により変わり、いわゆる正解に当たるものはない。
例えばりんごと聞いて、木になっているもの、箱にたくさん詰められているもの、皮が剥かれ皿に盛られているものなど様々な描き方がある。別にりんごを思い浮かべず、アップル社製品のiphoneが思い浮かんでも構わない。
また、前述した通り想像する絵は現実にはあり得ない、多少突飛なものである方がむしろ覚えやすい。一般的に思い浮かべられるものは何か、と考えてしまうと、印象の薄い覚えにくい図になってしまう。感じたまま思い浮かんだものを、記憶に残すためには重要になる。

2つのものを結びつける

単体で思い浮かべられるようになったところで、イメージ記憶の肝である結びつけをマスターしよう。
例えば「チョコ」と「仕事」だったらどうだろうか。

少し突飛だが、以下のような図を例としてあげてみよう。

まとめ

脳や記憶の仕組みというのは、まだまだ研究の途上であり、今回説明したなぜそうなるのかという仕組みや、記憶の分類といったものは、現段階で正しいとされている理論にすぎない。そのため、今後研究が進むことで、より納得できる説明に取って代わられる可能性は大いにある。
とはいえ、イメージ記憶という記憶術自体は、多くの人が実践してきた通りで、その有効性はかなり信頼できるものだ。記憶術にもある程度の訓練が必要ではあるが、繰り返すことで他の人よりも一歩進んだ記憶力を手に入れよう。
この、一見関係のないものを結びつける過程で、何かしらのエピソードが生まれているはずだ。それこそ、記憶させるための重要なポイントである。
ぜひこれを活用して、イメージ記憶を手に入れてみて欲しい。
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