あなたの短期記憶を鍛えるトレーニング方法

ついさっき覚えていたはずのことを何故か忘れてしまった。ああ、記憶力がよければなと考えたことが人生でどれだけあっただろう。学生時代のテスト前から幾度となく願った記憶力を鍛えるトレーニング方法について。


短期記憶とは何か

短期記憶は人間の記憶のうち、短期的に保持される記憶のことである。比較的短く、数秒単位の時間でしか保持されない記憶である。アメリカの心理学者であるウィリアム・ジェームズ氏が一次的記憶と名付けた。

そもそも、人間の記憶は大きく長期記憶と短期記憶の2つに分類される。長期記憶は陳述記憶と非陳述記憶に分類され、それぞれはまた以下の図のように意味記憶とエピソード(出来事)記憶、手続き記憶に分類される。

出典:認知症ねっと https://info.ninchisho.net/symptom/s20
短期記憶と関連付けて考えられるのが、ワーキングメモリ(作業記憶)だ。ワーキングメモリは情報を保持しようとする時に働くもので、脳の検索エンジンとも言われている。こう聞くと、すごく難しい役割のように聞こえるが、そんなことはない。
ついさっき話した内容(隣の人の名前)を覚えておかないといけない経験(あなたは意識したことはないかもしれないが)があり、その人の名前を覚えていればそれはワーキングメモリが働いている。別の例を出せば、学校の授業でグループ分けをするために学校の先生に1~3の番号を順に振り分けられたとしよう。あなたが自分に振り分けられた番号のグループとの人たちと合流しようとするとき、それはワーキングメモリが働いているのだ。

ワーキングメモリとはホワイトボードのようなものをイメージすればよい。少しメモをしてもすぐ消してしまうようなものだ。

短期記憶が能力が高いということ

普段あなたが短期記憶、厳密に言うとワーキングメモリについて意識することはないはずだ。
たとえ、物忘れが激しくなってきたなと思う瞬間はあっても、それがワーキングメモリが弱まっていると考える人は殆どいないからだ。意識する者がいたとしても心理学者や脳科学者の一部だろう。
しかし、ワーキングメモリは私達が持つ認知機能の中でとても重要な役割を担っているのだ。日々の何気ない仕事や作業、幼い頃からの学校での学びははワーキングメモリのおかげで実現できている。もし、あなたのワーキングメモリが弱ければあなたは小学校の国語の授業を読んで話を理解することはできないし、宿題の締切りなどは守れなかっただろう。知らず知らずのうちに、ワーキングメモリは大活躍してあなたは生活を成り立たせているのだ。

ワーキングメモリが向上すると、あなたが意識的に記憶に割く脳のキャパシティは必要なくなる。ワーキングメモリの能力が向上するということは、短期記憶の記憶時間(記憶の容量)が増加するということになるため、仕事や勉強に取り組むビジネスマンにとっては願ってもない利点を生むのだ。
短期記憶が向上することはワーキングメモリがスペックが向上することといっても大きく間違いなはない。ワーキングメモリの働きが向上すると、結果として時間あたりの生産性が向上したり、覚えたつもりで覚えられていなかったケアレスミスが減ったり、何度もしていた確認作業がなくなったりするのだ。

では、短期記憶はどのようにして鍛えればよいのだろうか。
トレーニングする方法はあるのだろうか。

短期記憶をトレーニングする3つの方法

短期に記憶できることの容量は限られている。もしこれが限られていなければもはやそれは短期記憶でも一次的な記憶でもないからだ。
この短期記憶(≒ワーキングメモリ)の容量は認知心理学においてはマジカルナンバーと呼ばれる。
マジカルナンバーとは人が瞬間的に記憶できる短期記憶の限界の数のことだ。そして、この数は「7±2」であるとするもので、アメリカのハーバード大学の心理学者のジョージ・ミラー教授(George Armitage Miller)による1956年の論文「The Magical number seven, plus or minus two」で登場した。この認知心理学では、人間が瞬間的に保持できる情報の数を「7±2」としている。ミラーの実験によると、人間が短期記憶で保持できる情報の最大数は、一般に5〜9の間、すなわち7を中心としてプラスマイナス2の範囲内、まり5~9であるとされた。この値は、人間が一度に知覚できる情報の最大数、注意を向けることのできる情報の最大数とも一致することから、人間の瞬間的な情報処理能力の限界がこの範囲にあると考えられている。マジカルナンバーでいう情報の数は「情報のまとまり(チャンク)」単位で計算される。また、このマジカルナンバーはミラーの法則(Miller's law))とも呼ばれている。
このようにして目安は決められているが、いくつかの要因がワーキングメモリに影響を与えていることは研究によって分かってきたと言われている。つまり、意図して短期記憶をトレーニングし鍛えることは可能だということだ。
ストレスは記憶力の天敵といわれる。過剰なストレスによって記憶力が低下することは研究によっても明らかになってきている。ストレス値が高ければ高いほど、短期記憶の機能は低下するのだ。つまり、あなたがあなた自身のストレスをマネジメントすることはあなたのワーキングメモリの働きをマネジメントすることに他ならないとすら言えるということだ。
ストレス減らすためには、運動やマインドフルネス瞑想が良いと言われている。何かに没頭する(一つのことに意識を傾けている)状態を意図的に作り出すことで、ストレスの根源から意図的に離れることが出来るからである
実際に、マインドフルネス瞑想を実践すること身体に取ってのストレスである緊張や興奮状態にある私達の身体はリラックス状態である副交感神経優位に移っていくと言われているからだ。

短期記憶の能力の低下はあなたを苛立たせる要因になりうるだろう、そうするとそのストレスはあなたの短期記憶の能力を低下させる要因になるという悪循環に陥ってしまう。意図的なストレスマネジメントはあなたの自律神経を整え、あなた自身を幸せにするということ以外に短期記憶を鍛えるという観点においても重要なのだ。

実際に大阪大学大学院の研究グループによって、ストレスが記憶に与える影響も再現されているという。
参考: https://resou.osaka-u.ac.jp/ja/research/2016/20160208_1
マインドフルネスは日本人を救うか。」

2.コミュニケーションを取る

1.ストレスを減らす

コミュニケーションを取ることは脳の短期記憶を呼び起こす動作の繰り返しといえる。
なぜなら、相手の発した言葉を記憶し理解することで、会話は成立するからである。一般的に言われる「空気を読む能力」とワーキングメモリの働きは大きく関連しており、あなたの短期記憶を刺激し続けるものとしてコミュニケーションを取ることは効果的な手段だと言えるだろう。

3.汗を流す

ライフハッカーによると、ワーキングメモリの容量は高負荷のエクササイズによって増やすことが出来るという。
運動科学を研究するChristine Lo Bue-Estes博士らは、非常にハードな運動の前、最中、後でワーキングメモリ容量に変化があるかどうかを実験しました。その結果、一連のハードな運動の最中と終了直後はワーキングメモリの容量が低下したものの、短い回復期を経た後は、運動をしなかった人よりも容量が増加したのです。
ハードな運動は、総合的な知的能力向上に効果的であるとともに、ワーキングメモリの容量アップにも明らかに有効なのです。
https://www.lifehacker.jp/2015/01/150116focus_memory.html

いかがだろうか

私達の日々の生活にとって短期記憶、ワーキングメモリは極めて重要な役割を担っており、短期記憶はトレーニングすることが出来るということは分かっただろうか。
この短期記憶とは普段あまり意識することはない私達の認知機能のうちの一つであったのだ。
何事も自分の意識下におくことで、認識し改善を試みることが出来るということは分かってきた。ワーキングメモリにおいても同様だろう。

日々多くの情報にさらされるビジネスマンにとって、ワーキングメモリを鍛えることに依る認知機能の向上は多くのメリットをもたらし、ここでもストレスマネジメントが重要であることは認識できた。

もしかしたら、あなたはこのトレーニングの効果を実感することは少ないかもしれない。しかし、この積み重ねがあなたをひとつ上のフェーズへ引き上げることになるかもしれないということで、トレーニングする理由は十分であろう。

脳のワーキングメモリを鍛える! 情報を選ぶ・つなぐ・活用する / トレーシー・アロウェイ

脳のワーキングメモリを鍛える! 情報を選ぶ・つなぐ・活用する / トレーシー・アロウェイ
「 脳のワーキングメモリを鍛える! 情報を選ぶ・つなぐ・活用する / トレーシー・アロウェイ 」
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